「防災意識の向上につなげたい」 台風19号被災の寺で水害の記憶写真展 長野市妙笑寺

昨年の台風19号上陸から1年となった12日、被災した長野市津野の妙笑寺で、水害の記憶を伝える写真展が始まった。主催する「長沼歴史研究会」の笹井妙音さん(70)は「防災意識の向上につなげて、二度と災害が起きないよう次の時代の人々につなげたい」と話す。18日まで。

 妙笑寺は台風19号で決壊した千曲川の堤防そばに位置し、1580(天正8)年の建立と伝わる。寺には度重なる水害の記録が刻まれており、本堂の柱には1742(寛保2)年に約2800人の死者を出した「戌(いぬ)の満水」の水位(約3・4メートル)が記されている。写真は住民らから集め、約550点を展示している。

 写真展に訪れた同市下駒沢の伊藤忠さん(80)は千曲川の堤防決壊で自宅前まで水が押し寄せた。「水害は人ごとではない。地面を埋め尽くすほどリンゴが落ちている写真が印象に残った」と話した。同市赤沼の実家が被災した吉沢昌男さん(58)は、「みなし仮設住宅」で暮らす母親(84)と訪れ「もう1年、まだ1年か。終わっていない気持ちが強い」と語った。【島袋太輔】