お寺に響く異国のメロディー ベリーダンス教室

お寺で異国のステップを踏んでみませんか? 兵庫県三田市酒井にある山上の古刹(こさつ)「友松寺(ゆうしょうじ)」の本堂で毎週火・水曜日にベリーダンスの教室が開かれている。なんだか意外な組み合わせにも思えるが、ふすまを開け放って秋風に吹かれ、天井に吊した金色の天蓋(てんがい)、五色の幕が揺れる様子は、神秘性のあるダンスにぴったり。子ども連れで参加でき、女性が育児や家事の合間に息抜きで楽しめる場を作っている。(喜田美咲)

 こけむした石段を登ると、緑に囲まれた境内にスローテンポの音楽が響く。さざ波の音、太鼓の音、透き通った女性の歌声…。

 「水をかき分けるように」「体をつっている糸が切れるように力を抜いて」。講師のRERA(レラ)さん(36)=本名・廣木理代子、同市=が曲を掛けながら手本を見せ、参加者たちが鏡に向かって体を動かすと、腰に巻いた飾りがシャラシャラと鳴った。

 RERAさんは歌や踊りが好きな関西の母親らでつくる「オカンバレエ団」の一員で、ベリーダンス歴は13年。新型コロナ禍に入ってオンラインで希望者に教えてきたが、安全に集まれるスペースはないかと思案する中、ママ友で同寺住職の妻、陶尾裕子さん(41)が本堂を提案した。

 同寺は室町時代の1460年代からある古刹で、春は桜、秋は紅葉を楽しめる。市民向けに座禅や写経を開くなどしてきたが、ベリーダンスと聞いて「寺に親しんでもらえる良い機会」と考えたという。

 レッスンは7月ごろから始め、口コミなどで市内外から参加者が集まるように。ほとんどが初心者で「裸足に畳の感触が気持ちいい」「自然に見守られている感じがする」と好評だ。

 参加した女性(53)は「ゆっくりした動きで普段使わない筋肉を使い、体幹が鍛えられた気がする。風が心地いい」と笑顔。RERAさんは「セクシーなダンスと思われがちだが、自然の中で解放されるような踊り。レッスンを機に自分なりの踊りを見つけてほしい」と話した。

 定員4人。火曜の午前10時半~11時45分と水曜の午後2時~3時15分。2人以上が集まる場合は別日でも開く、1人1回1500円(4回5000円)。前日までにメール(reraashiri@gmail.com)や公式LINEで予約する。今後、ヨガの体験講座やアコースティックギターの演奏イベントも予定する。

【ベリーダンス】中東やアラブ文化圏で発展したダンスで、世界で最も古い踊りの一つとされる。ベリー(belly)は腹部を意味し、1893年の米シカゴ万博で名付けられた。腰で独特のリズムを刻み、日本では近年、エクササイズに取り入れられるようになった。